「夢は叶う」の意味について考える

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「夢は叶う?」

 皆さんは「夢を持て」「夢は大切」「夢は叶う」といった内容の講演や講話を聞いたことがありますか?私は何度か聞いたことがあります。でもある事実に気付いてしまったのです。それは、「夢を持て」、「夢は叶う」と語っている人は、全員、自分は成功したと思っている人だという事実です。つまり、夢を叶えた人だけが、「夢は叶う」と言っているのです。この事実に気付いたときに、100人いるとしたら果たして何人の人が当初の夢を叶えたと言うのだろうという疑問も浮かんできました。

 リサーチプラスさんの調査(20~60代男女1000人に聞いた結果)では、子供の頃の夢が叶ったと言っている人は5人のうち1人だということでした。この結果を基にすると、子供の頃の夢が叶ったのは100人のうち20人ということになります。

 もちろん、子供の頃の夢なので、大人になるにつれて夢も変わっていくことは当然ありえますし、それが自然だとも思っています。100人中80人の人は、子供の頃の夢とは全く別の夢に変えたり、夢を譲歩して妥協したり、あるいは夢を持つことを諦めてしまったりしている、ということになります。私の友人は、「それが叶わないから夢なのだ」といっていました。

 小中学校の教育においても、夢を持つことは無条件にいいこととして、夢を持つことを奨励しているようです。特に小学校では小学生に、将来は「お医者さん」「サッカー選手」「モデル」「タレント」「声優」などいろいろな夢を持たせ、夢を語らせる授業に取り組んでいるところも多いと思います。現に私の子供もそうでした。小学生だった子供は夢について特に何も考えてはいませんでした。しかし、担任の先生から夢を考えるように言われ、いろいろと考えて「将来は漫画家になりたい」という夢にすると決めたようでした。そして、小学校ではその夢を大きく膨らませてもらいました。様々な行事の際に何度もその夢について発表させられていたからです。参観日などでそれを聞いていた私は、先生方の努力には敬意を称しつつも、「夢を膨らませすぎではないのか。ちょっと無責任なのではないか。」という不謹慎とも言うべき感想を抱いていました。当然ながら「微笑ましい」「子供らしくてあどけなさがとてもいい」「夢があっていいね」などと思った人もいると思います。ですが、私からすると「学校では、はしごを掛け、子供たちに上へ登れと励まし促すけれども、上へ登ったと分かった途端、はしごを外して知らん顔している」と思えてしまったのです。つまり、やりっぱなしでアフターフォローは家庭でお願いしますという対応になっていると感じたのです。

 もちろん、自分の子供ですから、将来のことについて学ばせていくことは当然の親の務めであると思っています。ですが、家庭への協力を求めないまま一方的に夢を持たせて、夢を持った後はどうぞご家庭でご自由に話し合ってくださいという流れが、一方的だと感じてしまったのです。もっと言えば、夢は叶うこともあるが、夢は叶わないこともあり、叶わないと思ったときにどうしたらいいかまで教えてほしいと思いました。

 夢というものは「自分の努力で叶えられる夢」もありますが、「自分の努力だけでは叶えられない夢」もあります。なりたい自分と今の自分の現状との間に努力だけは埋められない途方もないほどの高低差がある場合や、第三者や環境が実現に大きく関与する場合などがそうです。先に挙げた例で言えば、8割の人の多くが、成長するにつれて現実を認識し、夢を変えていったり、夢を持つことを諦めたりしているのだと思います。子供の頃の夢を叶える人よりも、叶えられなかった人の方が多くいるのならば、その叶えられなかった人が立ち上がり、新たな夢を持って前向きに歩んでいけるようにすることが大切ではと考えるのです。そして、それができるのは学校、家庭、人間関係だと信じています。

 

 

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