授業の「導入」段階である「分かる」段階について

 日本語教師養成講座の教育実習で習ったのが、授業1時間の流れともいうべき、段階についてです。
「分かる」から「覚える」,そして「使える」段階へと1時間の中で学習者を高めていかなければならないと教えられました。そして、この「分かる」「覚える」「使える」の段階は、学習活動として言い換えると「導入」「基本練習」「応用練習」になるとのことでした。

 多くの日本語学校の授業は日本語で行っています。(直接法といいます。)そのため、授業では、前時に学習した日本語しか使うことができません。教育実習を指導していただいている先生は、今でも、初級中級の授業においては未習の文型や語彙を使ってしまうことのないように、自分が授業で話す言葉をノートに書き起こして、授業に臨んでいると言っていました。

 「分かる」段階の「導入」は、絵や図が大切になるということでした。なぜなら、それは初めて出てくる言葉の意味とそれを使う状況を一目で分からせるためだということです。言葉の音声だけ覚えても、その言葉が持っている意味、そして、その言葉が使われる状況が理解できなければ、実際に言葉を使って話すことはできません。しかし、言葉を知らない人に対して、初めて出てくる文型や言葉の意味と使われる状況を音声言語だけで理解させることは、相当高いハードルを飛び越させている状況になるとのことです。そのため、教師があまり説明しなくても状況が一目瞭然となる絵や図がとても大切なのだと言っていました。
 この場合、絵や図ではなく写真でもよさそうな気がしますが、写真によりけりだそうです。導入で使えるよい写真は、理解してほしい状況だけが写っている写真ということでした。余計なものが映り込んでいると、学習者は気が散ってしまうからだそうです。
 絵や図の状況を説明をする場合も、できるだけ短い文で話したり、絵や図を指して単語だけで話したりするのがよいと言っていました。

 とはいえ、「言うは易く行なうは難し」です。「導入」に都合のよい絵や写真を見付けるのが一苦労です。ネットのフリーイラストをあちらこちらと探すのは時間も掛かります。そしてなにより、1時間で使う絵や図や写真などをプレゼントーションソフトのパワーポイントにまとめる作業もあります。(多くの日本語学校ではタブレットなどは使用していない状況です。パワーポイントの資料をテレビモニターに映して授業をしています。)

 「導入」段階は短ければ短いほどよいと聞いたことがあります。効率的に状況を捉えてもらう工夫をして、「覚える」「使える」段階に時間を多く掛けられるようになりたいと思いました。

 

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