「告示校」と「告示校ではない学校」の違い

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日本にある日本語学校について

日本で日本語教師として働くための応募条件には、おおよそ以下の3つのうちのどれかを有することが求められます。(令和6年時)

文化庁に届出が受理された420時間以上の日本語教師養成講座を修了し、かつ4年制大学を卒業している。
◎大学・大学院で日本語教育を専攻し、必要な単位を取得している。
◎日本語教育能力検定試験(日本国際教育支援協会:民間資格)に合格している。

 日本において、日本語を教える570(R3:文化庁調査)の任意団体(日本語学校)で働くには、大抵、上記の条件のうちのどれか一つ条件を満たしていることを求められます。(ボランティアなど賃金を伴わない団体は除く)
(ちなみに、外国にある日本語学校はあまり資格を求められず、日本語を話すことができれば採用になるという話を日本語教師養成講座の先生が話していました。)

 さらに、日本には、法務省告示校という日本語学校が661校(R3:文化庁調査)あります。この法務省告示校とは一体何なのでしょうか。それは、法務省の出入国管理庁が認可した日本語学校のことを指します。ではなぜ、出入国管理庁が認可するかのでしょうか。
まず、大前提として、外国籍の人が日本に滞在するには、29種のうちのどれかの在留資格が必要になります。そして、学生として日本に滞在して日本語を勉強するならば、29種の中の「留学」という在留資格が必要になります。その在留資格を証明する在留カード(外国籍の人が日本に長期滞在する場合、在留カードという自身の顔写真が付いたカードを携行しなければなりません。)は出入国管理庁が発行します。そのため、出入国管理庁は「留学」という在留資格を付与するだけの条件を備えている学校であるかどうかを審査する必要が出てきます。そのため、告示校になりたい日本語学校では、様々な条件を満たした上で、告示校になるための申請書類を提出するということになります。この厳しい審査に合格した学校が告示校になれるのです。
 まとめると、告示校とは、法務省出入国管理庁が、「留学」の在留カードを発行できるだけのカリキュラムや、人員条件、教員資格、施設条件等を満たしていると認可した学校ということになります。外国籍の人がこの告示校の日本語学校で学ぶ場合は、出入国管理庁に「留学」という在留資格で申請することができます。
 では、なぜ告示校になりたいのかと言えば、経営の安定が挙げられると思います。日本は国公立の日本語学校の数が少ない状況です。私立の日本語学校が大半です。各国にある留学生斡旋エージェントの立場で考えれば、留学の在留カードの発行が保証されている日本語学校と、そうでない日本語学校となれば、発行が保証されている日本語学校の方を留学生に斡旋すると思います。つまり、告示校であれば留学生が集まりやすくなることになります。
 

 しかしながら、これまで法務省が管轄していた日本語教育機関は、今後、文部科学省が管轄するようになります。法務省により告示された日本語教育機関(法務省告示校)については、2029年3月までの間は、留学生を受け入れて日本語教育を実施することが認められています。 

「留学」の在留カードの申請手順

 「留学」の在留資格を申請する流れですが、まず、①「留学生を斡旋する各国のエージェントが、学生を来日させる前に、入学予定者の在留カード申請書類を告示校の日本語学校へ送ります。」次に、②「申請書類を受け取った告示校の日本語学校は出入国管理庁へその書類を提出します。」そして、③「告示校の日本語学校は出入国管理庁から入学予定者それぞれの「留学」の在留カードを受け取り、各国のエージェントに送ります。」④「各国の学生はその「留学」の在留カードと入国ビザを携えて来日する」ということになります。
 なお、来日した際に持ってきた「留学」の在留カードについては、日本に滞在している間、留学生は常に持っていなければならないことになっています。

法務省告示校以外でも留学の在留カードをもらえる学校がある?

 
 この法務省告示校以外でも、留学の在留資格を付与できる学校があります。それは、文部科学大臣が指定した日本語教育機関です。 これは今後、留学の在留資格を付与できる認定学校の基準にも継続されていくようです。

     令和五年文部科学省令第四十号 認定日本語教育機関認定基準
附 則  
(施行期日)
第一条 この省令は、令和六年四月一日から施行する。(主任教員の要件に関する経過措置)

第二条 令和十四年三月三十一日までの間における第五条第二項の規定の適用については、同項第三号中「認定日本語教育機関」とあるのは、「認定日本語教育機関、出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令(平成二年法務省令第十六号)本則の表法別表第一の四の表の留学の項の下欄に掲げる活動の項の下欄第五号イに規定する告示日本語教育機関、大学(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する大学をいう。)又は文部科学大臣が別に指定する日本語教育機関(法第一条に規定する日本語教育機関をいう。)」とする。

「留学」の在留資格で働くことはできる?

 さて,この「留学」という在留資格(留学ビザ)は「勉強をするならば日本に在留することを認める。ただし、働くことは認めない」というものです。
 とはいえ、皆さんは学生らしき外国籍の人がコンビニなどでアルバイトをしている姿を見かけたことはないでしょうか。「留学」の在留カードなのになぜ働けるのかと言えば、その「留学」の在留カードを持っている学生は、出入国管理庁から「資格外活動の許可」を得ているからなのです。許可が得られているのであれば、学校のある時期は週に28時間以内学校の長期休業期間はⅠ日8時間まで(週40時間以内まで)働くことができるようになります。
 なお、この「資格外活動の許可」ですが、来日した際に出入国管理局へ申請することになります。

 ちなみに、留学生がセブンイレブンなどのコンビニで働くには、JLPT(日本語能力試験)のN3のレベルが求められるようです。N3レベルは2年間学ぶ日本語学校においては、比較的上位の能力です。「みんなの日本語」という初級Ⅰ(赤本1~25課)と初級Ⅱ(青本26~50課)のテキストがあります。私の働いている日本語学校では約1年掛けて学習するテキストです。そのテキスト2冊を終了した学習レベルがN4相当です。私の勤務校でも、JLPTは年に2回受けられるものの、卒業までになんとかN4に合格したという学生が一番多いです。N3に合格者する学生はとても少ないのが実情です。とはいうものの、自国でも自主勉強して来日し、来日後も勉強を絶やさない学生がN2に合格したという例も、まれに聞きます。
 では、N3を取得した人は、皆、日本語が流ちょうなのかと問われれば、人によって様々というのが実情だと思います。日本でいう英語の筆記テストの成績はいいが、話すことができない人が多いのと似ています。
 日本各地での採用条件もオーナーによって差はあるとは思いますが、コンビニで働くには、コンビニの専門用語を使うことや、お客様対応なども一通りできることが求められます。やはり、コンビニは接客しなければならないので、N3に合格しているから必ず採用されるわけではなく、面接での受け答えがしっかりできることが採用の条件になってくると思われます。それゆえ、コンビニで働いている留学生は、日本語の習得レベルがかなり高いといえます。 

 日本に在留できる資格は29種類ありますが、そのうち、就労できる資格は24種類あります。
 そのため、「留学」以外の在留資格の外国籍の人は、告示校以外の学校や日本語講座で日本語を学んでいることが多いようです。

告示校で働くために必要な資格とは

 告示校になるためには、学校設備・授業(カリキュラム)・日本語教師の資格を有している人数など、法務省が定めた基準を満たした上で申請することが必要となります。
 そして、この法務省告示校の日本語教師になるには、冒頭に書いた条件の他、更にまた条件が加わるようになります。それは、国家資格となった「登録日本語教師」の資格を持っているということです。「登録日本語教師」になるためには、資格取得の試験に合格したり、経験や講習・試験などで条件を満たしたりしなければなりません。
 なお、令和6年の現在は、資格取得のための8つのルートが提示されています。

 

 

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