日本語教育能力検定の覚えられない用語を覚えやすくする

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覚えられない用語は既知用語と組み合わせる

 日本語教育能力検定を合格するためには、カタカナ用語を克服しなければなりません。覚えようとするカタカナ用語に既知の言葉があれば、短期記憶の海馬に行って長く留まりやすくなります。

 例えば、「オープン・クエスチョン」という用語ならどうでしょうか。オープンという言葉は、お店の開店などでよく耳にする言葉ですし、クエスチョンはクイズ番組にも出てくる言葉です。どちらの意味も知っているという人が多いと思います。この「オープン・クエスチョン」のように聞いたこともあり、なんとなくでも、それぞれの意味も知っているような用語は覚えやすいと感じます。
 ちなみに、「オープン・クエスチョン」とは、答えを自由に考えることができる質問形式のことを指します。例を挙げれば、「私のことをどう思っているの?」「いつになったら始めるの?」のような質問の仕方です。答える側はいろいろと考えて自由に答えることが可能です。


 この場合のオープンは「開けられた」という意味よりは、「限定されていない」という意味になるかと思います。その意味も知っている人は、「オープン・クエスチョン」とは「答えが限定されていない質問なのではないか?」と予想することもできます。別の意味を知っていなくても、聞いたことがある言葉は聞いたことのない言葉よりも、極めて容易に前頭葉から短期記憶の海馬へと移動させることが可能となります。
 このように、知っているという既知の言葉は、記憶することにとって強い味方となります。なぜ強力な味方になるのかイメージで考えてみました。

 新しい情報がこの大脳皮質に貯蔵されるようになるまでには、大きな関門が待ち構えています。それは、海馬の中ですぐに消去されないような存在となり、目立つ情報となることです。消えずに目立っていれば、海馬は長期記憶の部屋の扉の鍵を開け、入れてくれるようになります。
 目立っている情報は、海馬は目立っている情報がいると、鍵の掛かっている長期記憶の部屋の扉を開けて通してくれるようになります。扉を通るときに海馬は、その情報に対してきらびやかなスタンプを押します。それは大脳皮質から前頭葉までの高速リニアモーターカーのフリーパスとなるスタンプです。このスタンプが押されていれば、その情報はいつでもすぐ、大脳皮質から前頭葉まで移動できるようになります。
 

 このフリーパスのスタンプの押された長期保存の情報と未知の情報がくっついていたとしたら、海馬はどのように判断するでしょうか。長期記憶の情報と一緒にいるので、おそらく、こちらの新しい情報も大事な情報に違いないと判断してしまうと考えます。いわば長期記憶情報の七光り効果(ハロー効果)で海馬に影響を与えると言えます。それゆえ、長期記憶の情報と一緒であるならば、海馬は比較的容易に、長期記憶の部屋へ通じる扉の鍵を開け、リニアモーターカーのフリーパスのスタンプを押すようになると考えます。

語呂合わせの効用

 実は、知らないことと知っていることと結びつけて覚えると覚えやすいということは昔から思われていて、実際に行われてきていました。語呂合わせがそのいい例です。
 知らない数字の組み合わせを、知っている言葉に結びつけ、ルート2=1.41421356を「一世、一夜に他人(ひと)見頃」(※これはいろいろな漢字が当てはまるかと思います)、ルート3=1.7320508を「人並みに奢れや」(けちくさいなぁ)と言った語呂合わせで覚えた経験は皆さんもあるのではないでしょうか。語呂合わせは無意味を有意味にする方法であるとも言えます。
 
 実はこの語呂合わせですが、心理学でいるところの「精緻化リハーサル」というものになるそうです。精緻化リハーサルとは、イメージ化を図って理解を深めたり、既有知識と関連付けたりして、海馬に情報をどどめ、長期記憶に送る方法のことを指します。

 8回読んで分野別用語集を克服しようとした私でしたが、やはり、カタカナ用語には大きく閉口しました。しかし、この語呂合わせを作ったことで、記憶することへの負担を大きく減らすことにつながりました。

 

 

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