促音の仲間はずれを探す JEESのJLTCT 試験Ⅱ対策 

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「促音の音」って何?

 「ッ」の促音とは、どんな音なのか考えてみたことはありますか。促音は次に発音する音の準備をして待っている状態のことを指します。

 「マッチ」という語で考えると、「マ」と発声した後に「チ」と発声するための準備をして待っている状態となります。次に発声する音の準備をせずにただ1拍分待っていると、「マ」一拍「チ」となり、「マ」と「チ」という音を一拍空けて発声しているだけになります。

 ちなみに、なぜ「っ」を促音と言うのかずっと疑問に思っていました。「促す」という字を使うからには何を促しているのだろうと考えていました。いろいろ調べると促音便が関係していることが分かりました。

 ところで、音便とは何なのでしょうか。音便とは発便利にするために、動詞の語幹末の子音が変化することを指します。「待ちます」を例に挙げると、テ形にした場合は「待ちて」ではなく「待って」となります。この場合の音便は促音に変化しているので、これを促音便と言います。「帰ります」も、テ形になると「帰りて」ではなく「帰って」というように促音便となります。

 もう少し詳しく言えば、音便は動詞のⅠグループだけに見られます。なぜなら、Ⅰグループの動詞の語幹末は子音となっているからです。例えばⅠグループの「書きます」の語幹(変化しないところ)をローマ字表記すると「kak」となります。テ形になったときは「書きて」「kak ite」とはならずに、「書いて」「ka ite」と子音の「k」を脱落させています。子音の発音を減らして発音が便利になるようにしています。
 

 ちなみに、Ⅰとは違い、Ⅱグループの動詞の語幹末は母音です。例えば「見ます」の語幹は「mi」となり、語幹末は「i」で母音となります。「食べます」の語幹も「tabe」となり、語幹末は「e」でやはり母音です。音便は発音を便利にするためのものなので、音を妨害しないで発声する母音で終わる場合は、音便を生じさせる必要がないのです。

 Ⅰグループの動詞は、否定の「ない」を付けたときに「Aない」となるものが当てはまります。例えば、買わない(KAWAない)、話さない(HANASAない)、持たない(MOTAない)などです。

 そのⅠグループの動詞の中で、マス形にしたときの「ます」の前の文字が「い」「ち」「り」となる動詞があります。その動詞をテ形にすると促音便となります。例えば「買ます」は「買いて」とならずに「買て」となります。「持ます」は「持ちて」とならずに「持て」となります。「削ます」だと「削て」となります。

「待ちて」よりも「待って」、「帰りて」よりも「帰って」と言う方が、発音が便利になり楽に行えるという意味で「促す」という字を使ったらしいです。しかし、そうだとすると、他のイ音便、撥音便の場合も、発音が便利になり楽に行えるという条件は満たしていると思ってしまいます。

 「促音」について個人的な思いとしては、早く次の音を発声する準備をしなければと舌が促されるからと考えた方がしっくりくるような気がしています……。でも、これもよく考えれば違うのだと思います。なぜなら、撥音(はつおん)の「ん」も次の音が発声できるように準備をして待っているという点では同じなのですから。

 さて、この促音としての音の状態ですが、実は「無音」の場合「スー」という息が漏れるような音の2種類があります。

 試しに「実践」(じっせん)とゆっくり言ってみてください。促音の「っ」のところで「スー」という息が漏れる音が聞こえるかと思います。また、「八朔」(はっさく)もゆっくり言うと促音の「っ」のところで「スー」という息の漏れる音が聞こえます。

 では、先ほど出た「マッチ」はどうでしょうか。これは「ッ」のところで音は出ていません。「実験」(じっけん)ではどうでしょうか。やはり「っ」のところは音が出ていません。

 促音時に「スー」という音が出る場合は条件があります。その条件は促音「っ」の後ろの文字が摩擦音のグループに入っている場合です。
 摩擦音のグループを私は以下のように覚えました。なお、ハ行、サ行、ザ行に含まれる文字をわざわざ取り出して書いているのは、調音点(子音の音を作っている場所)が違うからです。調音点が分かるように、唇から喉の奥に向かって文字を並べています。

摩擦音:「フ」「サスセソ」「ザズゼゾ」「シ」「ジ」「ヒ」「ハヘホ」→ 摩擦封鎖、残業し、残業中、自費歯保へ
摩擦(摩擦音)、封鎖(「フ」サ行)、残業し(ザ行「シ」)、残業中、(ザ行の語中)自費歯保へ(「ジ」「ヒ」「ハ」「ホ」「ヘ」)

 貿易摩擦を封鎖しようと、残業して、歯を食いしばりながら働いていたが、歯が痛くなり、残業中に歯の保険に自費で入ったというイメージ 銀湾の雫「 調音法の覚え方」より

 仲間はずれを探します。答える時間は50秒以内を目指すことが大切です。今はクリアできなくても大丈夫です。日本語教育能力検定試験本番までにできるようになればいいだけのことです。

【促音】
1 りっきょう  2 けっさい  3 かっぱばし  4 しゅっちょう  5 しっつい

 促音「っ」の後ろの文字が摩擦音である選択肢を探します。すると、2が該当しています。試しにゆっくり発音してみましょう。2は促音「っ」の部分に「スー」という摩擦が起きている息になっています。ということで正答は2となります。

 

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